【カンボジア編】ベトナム・カンボジアへの視察を行いました
3月2日から6日にかけてベトナムとカンボジアを訪問し、現地の教育機関および企業への視察を実施しました。今回の視察の目的は、東南アジア諸国における人材育成の現場を自らの目で確かめ、今後の連携や協働の可能性、そして能代山本地域における人材獲得・定着のさらなるヒントを探ることにありました。
今回の視察へ参加した地域の人事部参画メンバーは以下の通りです。
- 能代市役所(https://www.city.noshiro.lg.jp/)
- 株式会社清水企業(http://shimizukigyo.com/)
- 株式会社BNGパートナーズ(https://bngpartners.co.jp/)
- 株式会社ダイサン(https://www.daisan-g.co.jp/)
加えて、後述する外国人材受け入れ支援システムの開発を担う株式会社R&D(https://randd-inc.com/)も視察に参加いたしました。
今回の記事では、カンボジア視察を通じて得られた知見や現地での画期的な取り組みについてお伝えいたします。
カンボジアでは、「アジアイノベーション大学」および「Minami (Cambodia) Co., Ltd」を訪問しました。それぞれの現場で、教育や人材支援に関する取り組みについて詳しい説明を受け、実際の授業や研修の様子も見学することができました。
アジアイノベーション大学
アジアイノベーション大学(https://www.aii.university/)は、首都プノンペンから車で約2時間半の距離にある国立公園内、標高600メートルの自然豊かな高地に位置するカンボジア国内初の全寮制4年大学です。現在、カンボジア人と日本人の学生が在籍しており、皆さんはキャンパス内にある学生寮で共同生活を送りながら、自然と調和した環境の中で学業に励んでいます。
本学では授業をすべて英語で行い、ICT(情報通信技術)・ビジネス・観光経営・デザインなどの分野で、専門知識と実務経験を統合した教育を実践しています。プロジェクトベースの学習を通じて社会課題を解決する力を身につけ、各国から集まった仲間や講師とともに、学びに専念できる環境が整っています。
ミーティングを行う学生のプロジェクトチーム
(写真提供:アジアイノベーション大学広報担当理事 黒瀬さん)
アジアイノベーション大学を訪問した背景には、同校の卒業生が、「地域の人事部」プロジェクトの一環として開発している外国人材受け入れ支援システムの開発に関わっているというご縁がありました。このシステムは、雇用にかかる複雑な手続きや管理・教育業務を、行政手続きのDX化によって企業の負担を軽減するというものです。
加えて、今後ますます人手不足が深刻化していく地方においては、日常的な業務の効率化のためDX化(デジタル・トランスフォーメーション)が不可欠になります。同校の視察を通じて、先進的な教育や技術の現場に触れることで、地域の課題に対する新たな解決の糸口を探るヒントを得ることができました。
視察当日は、キャンパス内で学生によるプロジェクトショーケースを開催していただき、建築デザイン、AIを活用した業務効率化システム、自ら立ち上げたデザイン制作教室に関するプロジェクトなどが発表されました。どの発表も、課題発見から解決に至るまでのプロセスが丁寧に設計されており、学生たちの高い企画力と実行力が感じられる内容でした。特に、ITやデザインの領域において社会との接点を意識した取り組みが多く、教育と実践を結びつける同校の方針が色濃く反映されていました。
学生の皆さんによるショーケース
地域へのヒント
学生によるプロジェクトショーケースで見られたような実践的な取り組みからは、地域や日本のDX化を推進するうえで大きな力となる、優れた人材が育成されていることを実感しました。ITやデザインといった分野での課題解決型の学びは、今後の地域活性化や産業連携においても大きな可能性を秘めています。
お知らせ
そんなアジアイノベーション大学では現在、日本人学生の募集を行っています。グローバルな環境のもとイノベーション力と自己成長ができる学びの場に興味をお持ちの方は、ぜひ公式サイト(https://apply.aii.university/)をご覧ください。
アジアイノベーション大学の皆さん、ありがとうございました!
Minami (Cambodia) Co., Ltd.
Minami (Cambodia) Co., Ltd. は、自動車教習所の運営を中心に、安全運転推進事業や自動車教習所向けコンサルティング事業など、多岐にわたる事業を展開するミナミホールディングス株式会社(https://minami-hd.co.jp/)の一社です。主に自動車学校、カーレンタルサービス、日本語学校、などを展開しており、また、日本で働く外国人の選抜・育成やビザ手続き支援を行う送り出し機関も子会社として運営しています。(送り出し機関名称:Minami (Cambodia) International Services Co., Ltd. )
今回訪問したのはプノンペン市内にある自動車学校で、特定技能「自動車運送」分野※におけるドライバー人材の育成に注力している現場でした。日本語教育と並行して、日本での運転を想定した運転技術や日本の道路交通法、安全管理に関する実務的な訓練を行い、現地の若者たちが日本国内で即戦力として活躍できるよう支援しているのが特徴です。
※特定技能「自動車運送」分野とは、日本の特定技能制度の16分野のひとつで、トラック・バス、タクシーなどのドライバーとして外国人が日本国内で就労することを可能とする在留資格です。日本での就労にあたっては、日本の道路交通法に基づいた運転免許の取得が必要です。
Minami (Cambodia) Co., Ltd. では、日本語能力試験および特定技能評価試験への合格、日本式の運転免許の取得やカンボジア免許から日本免許への切り替え(外免切替)を想定した対策授業を実施しています。
カンボジアの道路標識
このような教育体制に加え、子会社である送り出し機関Minami (Cambodia) International Services Co., Ltd. としてグループ企業の登録支援機関「外国人ドライバー支援機構」と連携しながら、各段階で求められる実務的なサポートも確実に提供しており、候補者が自信を持って日本での就労に臨める環境づくりが進められています。
さらに現在は、AI教習車を導入した新たな教習コースの整備を検討しており、指導員を必要としない自動運転型の教習車によって、効率的かつ高精度な教習環境の構築を目指しています。こうした革新的な教育システムを通じて、日本基準のスキルと知識を現地で習得し、優秀なドライバー人材の安定的な輩出につなげている点も、同社の大きな特徴のひとつです。
実際に用いられている教習車
地域へのヒント
特に、AI教習車の導入や、ドライバー人材の育成・送り出しを行う教育環境の整備といった取り組みは、
- 日本国内の輸送を支えるドライバー不足
- 若年人口の減少・流出によって存続が危ぶまれている地域の自動車教習所
という二つの問題に対して解決の糸口を示すものであり、大いに参考となりました。
今回の経験は、今後の地域づくりや国際的な人材連携を進めていくうえで非常に有意義なものであり、これからの施策に生かしていきたいと考えています。
まとめ
今回のカンボジア視察では、アジアイノベーション大学とMinami (Cambodia) Co., Ltd. の訪問を通じて、教育と人材育成における先進的な取り組みを目の当たりにすることができました。特に、外国人材の受け入れと育成を支える実践的な教育環境や制度的サポート体制、そしてDXを活用した革新的な仕組みは、能代山本地域における将来の課題解決に向けた大きなヒントとなりました。
今回私たちを厚くご歓待いただきました、アジアイノベーション大学とMinami (Cambodia) Co., Ltd. の皆様には、改めて心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
おまけ
自然豊かなアジアイノベーション大学に滞在中、美しい朝焼けを眺めるため早朝5時にトレッキングを行いました。美しい空気を味わいながらカンボジアの大自然の中を歩くのは、とても贅沢な経験でした。
道案内をしてくれたリカちゃん(キャンパス内で生活をするワンちゃん)
iPhoneで撮影した美しい星空
結果、プチ遭難いたしました。
次回はベトナム編です。お楽しみに!