エモーショナルダイニング株式会社:海外人材の雇用背景と効果:田中氏へインタビュー
エモーショナルダイニング株式会社のご紹介
事業概要
秋田県能代市で「鉄板空間 縁」「酒食彩宴 粋」の2店舗を運営する。
お話を伺った方
代表取締役 田中 秀範 氏
海外人材を雇用した背景
Q:海外人材を雇用しようと考えたきっかけを教えてください。
田中氏:会社の多様性に向けたチャレンジでした。
能代市だけに限らないですが、今は募集を掛けても人がなかなか集められません。それも踏まえて、昨年からインターンに来てもらっています。
実は数年前からインターンや技能実習はうちの会社でも受け入れられればなと思っていたんですが、当時は飲食・サービス業では技能実習の制度が無かったので難しいかと思っていました。
ですが制度が変わったので、今後もさらに人材の確保が厳しくなると見込んで、海外人材雇用を検討し始めました。
ただ、いきなり雇用するのはハードルが高かったので、まずはインターンという形で受け入れることにしました。それを我々にとってのトライアルという風に位置づけて、今後の雇用を見据えた受け入れ体制の構築やスキルの習得をしていこうと考えていました。
Q:現在のインターン生以外にもこれまで雇用した海外人材について教えてください。
田中氏:これまでにN1とN2のインターン生を2人雇用してきました。
Q:言語の壁が存在すると思いますが、そこに関して不安は感じませんでしたか?
田中氏:実際、言語の壁はどうしても存在すると思います。ただ逆を言えば外国から来た方々にしっかりと教えていけるような下地が出来ているのであれば、日本の方に来てもらった時にももっと教えやすくなるところに繋がるのではないかと思いました。
また元々海外に拠点を持っていきたいという気持ちもあったので、海外人材が来てくれることによって、例えばベトナムに出店した際にそういった人材が核になってくれるのではないかと期待もありました。
海外人材への印象と雇用をしたことで得られた成果
Q:海外人材の方と仕事をしてみてどんな印象を持ちましたか?
田中氏:海外人材の皆さんは人間的に気持ちのいい方ばかりでしたね。
素直ですし、すごく頑張っているんです。そういう点で私たちとしても見習うべきことが色々あると思ってます。
それこそ、私たちはベトナムの人を含め海外人材を雇用し始めて2年目・3年目になるので、雇用に対する抵抗感は全く無くなってきていると感じています。
Q:海外人材を雇用することで日本人同士のコミュニケーションが強化されたことや、業務マニュアル改善につながったと聞きましたが、実感はございますか?
田中氏:あまり劇的ではないものの実感はありますね。
マニュアル改善はまだまだ途上ですが、発生した事象に対しての対応など気づきはありましたね。日本語がわからない方にもわかるようなマニュアルを作る事はサービス業にとって、大事な事だと思います。どちらにせよ、海外人材が加わる事により、業務の中での会話が増えていくので、コミュニケーション量は増えたと思います。
海外人材を雇用する上での課題
Q:海外人材に業務を任せる中で感じた課題を教えてください。
田中氏:そうですね・・・・。現時点では来日時の語学の習熟度によって左右されてしまう部分が大きいと感じています。私たちはインターン人材の採用なので、1年という期限のある中での海外人材の登用の仕方は色々考えていかなければいけないですね。例えば厨房業務などの手順が決まっている業務をしっかりと説明してこなしてもらった方がいいのかもしれないです。
また厨房を担当している従業員は主婦の方も多く、比較的コミュニケーションをとることが好きな方が多いので、それを通じて日本語を覚える方が習得しやすいかもしれないです。
Q:海外人材を雇用していく上で、行政や地域を含めて対策や支援が必要な課題を教えてください。
田中氏:震災や水害時の連携、コミュニティへの参加機会なども考えなければいけないと思います。あとは体調不良時に病院に連れていくことだったりとか。地域全体で受け入れ体制の構築が必要だと感じます。
法手続きの部分や、面接時のチェックポイントに関しても詳しく教えてくれる方がいれば安心ですね。
Q:今後も海外人材を雇用していきたいと思いますか?
田中氏:そうですね、2025年以降はインターンではなくてある程度長い期間働いてもらえるような人材を雇用していきたいです。
今後は特定技能受け入れを私たちでやっていきたいと考えており、内部の体制整備を早めに進めていきたいと思っています。
COCOROに期待していること
Q:COCOROというプロジェクトが動いていて、海外人材を雇用する企業の方や海外人材が働きやすくなるようなコミュニティをどんどん作っていこうと思っています。
ここに成果として求めていることや期待、要望があれば教えてください。
田中氏:私たちのような飲食サービス業ではまだまだ特定技能インターンを受け入れるまでの道のりは険しいだろうと正直思う部分があります。
この地域の飲食店は個人でやっているところが多いので、インターンのように時給換算で月の給料を決めることができるのはありがたいです。しかし特定技能になると日本人の正社員と同じ待遇で給料を支給する必要が出てくるので実際、個人経営の飲食店が現在以上の金額を支給するのは厳しいと思うんですよ。
なので現実的に可能かはわかりませんが、特定技能人材のご家族が一緒に来日した際に、そのご家族もアルバイトが出来るとなった場合には、自分たちの店ではなくて別の店舗でアルバイトをしてもらうとか、そういった柔軟な運用が可能であれば飲食店でも海外人材雇用に対する障壁は下がるのではないかと思います。
Q:インタビューのご協力ありがとうございました。
(写真:同社でインターンとして働かれているズンさんとのお写真)