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秋田日産能代店「どうしよう」から始まった1年:2人のメンターへインタビュー

お知らせ 2026/10/19

2025年夏、秋田日産能代店にインドネシアから2人の新しい仲間が加わりました。
在留資格「特定技能(自動車整備)」で働くハフィズさんとデニさんです。
指導役を任されたのは、同じ現場で働く工藤さんと八柳さん。

デニさん(左)・八柳さん(右)

 

工藤さん(左)・ハフィズさん(右)

 

「楽しみというより、どうしようという方が強かった」

そう振り返るお二人に、受け入れから約1年の歩みと、現場で積み重ねてきた工夫を伺いました。

楽しみより、「どうしよう」が先にあった

インドネシアから人材を迎えると聞いたとき、お二人の気持ちは不安の方が大きかったといいます。
「コミュニケーションの取り方も、どう接すればいいのかも、その時点では全然分からなくて」
メンター役は、配属が決まった時点ですんなり決まりました。
年齢の近い工藤さんと、指導経験のある八柳さんという組み合わせです。
初めて会ったときの印象は「おとなしい」。それでも話しかけるとよく笑ってくれて、口数は多くないけれど明るい。「イケメンだなとも思いました」と工藤さんは笑います。

標準語で話している“つもり”

入社直後にいちばん苦労したのは、やはり言葉でした。
ハフィズさんとデニさんが学んできたのは標準語。一方、能代の現場で使われるのは方言です。
「極力標準語で話しているつもりなんですけど、“つもり”なだけで。伝わっているのかどうかが分かりませんでした。」
方言だけではありません。日本語には、場面によって意味が変わる言葉があります。
たとえば「これはいいから」。
日本人なら「これは必要ない」と受け取るところを、「いい=good」と受け取られてしまう。
「あ、違う違う、ちょっと待って」と慌てて止めたこともあったそうです。
それ以来、曖昧な言い方は避け、違う意味にとられそうな言葉は使わないよう、今も気をつけています。

工程表をインドネシア語に

言葉だけに頼らない工夫もしています。
工藤さんは、インドネシア語を記載した工程表を、Google翻訳を使って作成しました。
「何か役に立てばいいなと思って」
作業全体の流れがつかめるだけでなく、「今ここをやって」と指差しで伝えることもできます。

工程表の星マークは、資格を持つ人が行う必要がある工程の印。「ここに来たら必ず声をかけて」という合図です。「受け入れ」「検査」など、現場でよく使う言葉はローマ字でも読めるようにしてあります。

「いい塩梅」が分かってきた

入社から約1年。「すごく成長してます」と、お二人の評価は明快です。
個人差はあるものの、日本語の理解は入社当初から大きく伸びました。

仕事の面で挙がったのは、「いい塩梅」を覚えたこと。

例えば、ボルトは本来、決められたトルクで締めるものです。
最初は力いっぱい締めていましたが、外れないように、折れないように、この太さならこのくらい、という力加減が少しずつ身についてきました。
数字だけでは伝わらない、現場で経験を重ねて覚える感覚です。

怪我をさせるくらいなら、怖がられてもいい

八柳さんの接し方は、本人いわく「がっつり親目線」です。だからこそ、安全に関わることは厳しく指摘します。

「怖がらせているときもあると思います。でも、ちょっとした不注意で怪我をしたらと思うと…せっかくインドネシアから来て、勉強しながら一生懸命働いているんだから。本人のためにも、安全にかかわることは、あえて厳しく伝えています。」

子どもが危ないことをしたときに、親が声を荒らげてしまうのに近いのかもしれません。
厳しさの根っこにあるのは、2人の身を案じる気持ちです。

一方、年の近い工藤さんにとっては、友だちのような関係のなかで、教えながらも、学び直す時間になっています。

「教えていると、自分も基本を思い出すんです」

仕事の外のことも

私生活についてどこまで聞いていいのか、迷うこともあるといいます。
それでも、聞くときは聞く。元気がなさそうなら、誰かしらが声をかける。
「連休はどこに行くの?」といった何気ない会話から、休日は友だちと出かけていることも分かってきました。

これから受け入れる企業へ

これから外国人材を迎える企業のメンターへ、お二人からのアドバイスです。

「まず、仕事を楽しいと思ってもらうことが大切だと思います。仕事に興味を持ってもらう。できた、うれしい、という感覚を持ってもらうことが大事かな、と」

その上で欠かせないのが、言葉と伝え方。紛らわしい日本語は使わない。
そして、信用して任せる部分と、まだ確認が必要な部分を見極めること。

 

どこの整備工場に行っても

最後に、ハフィズさんとデニさんへの期待を伺いました。

「車の不具合を自分で見つけられるようになったら、心強いですね」

まだ抜けてしまう部分もある。だからこそ、頭の中で作業の順番を組み立てて、自分で判断できるようになってほしい。

お二人が思い描いているのは、能代店の中だけの話ではありません。

「どこの整備工場に行っても大丈夫なように。いつか本国に戻っても通用するように。そんな思いで指導しています。」

 

「どうしよう」という不安から始まった受け入れは、1年をかけて、工程表の工夫や言葉の選び方、ときに厳しい一言といった、現場ならではのやり方を形づくってきました。

工藤さんと八柳さんが見据えているのは、目の前の作業をこなせるようになることだけではなく、ハフィズさんとデニさんが整備士として自分の足で立てるようになること。

その日に向けて、能代店での日々は続いていきます。

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